紀元前後のギリシア・ローマ時代、アスベスト鉱山で働く抗夫たちの間に、早くも肺疾患が多発するなど、アスベスト災害は古くから深刻でした。 しかし、産業革命期に着目されるまで、アスベスト災害はあまり関心を抱かれませんでした。 カナダのケベック州の露天掘り鉱山群で本格的なアスベスト採掘が始まった1877年の21年後である1989年、イギリスの女性工場調査官によって論文が発表され、初めてアスベストの人体への危険性に注目されました。 その後各国でも研究報告が相次ぎ、1935年には初めてアスベスト労働者の肺がんと悪性中皮腫が報告されました。 1978年4月、米国政府はアスベストの脅威を警告し、病気の診断法と処置法について情報を提供しました。 ヨーロッパ諸国にもアスベスト使用禁止、使用量激減のうねりが広がる中、20万トンものアスベストを使用し続ける日本は、情報鎖国状態からいまだ脱し切れていないのかもしれません。 |