アスベストって何?(アスベスト対策、建築と有害物質管理を考える)

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アスベストって何?

 現在、世間を騒がせているアスベスト。通称「イシワタ」と呼ばれる物質です。イシワタと言えば、理科の実験で使った石綿金網を思い出す人も多いのではないでしょうか? あの石綿金網の中央の白い部分、何回も使うとアルコールランプの炎で黒ずんでいましたよね。あの白い部分がイシワタ、つまりアスベストです。

 このイシワタ(セキメン)とは、そもそも天然の鉱物を指します。耐熱性に優れているため、古代ローマの時代からランプの芯などに使用されてきました。日本では平安時代の伝奇文学「竹取物語」に登場する不思議な燃えない布「火鼠の皮衣」が、この石綿であったのではないかと言われています。
 20世紀に入り、耐熱性とともに耐摩擦性、耐薬品性に優れた特性を持つイシワタは、その耐久性から建物などの断熱材や防火材、機械などの摩擦防止用などに大量に使用されるようになりました。日本でも建設資材の他、電気製品、自動車、家庭用品等、など様々な用途に用いられ、その有用性から『奇跡の鉱物』と賞賛された優れモノだったのです。

 そんな優等生だったイシワタですが、1970年代を迎えた頃から人体や環境への有害性が問題になりました。イシワタ繊維を肺に吸入した結果、20年から40年の潜伏期間を経て肺がんや中皮腫の病気を引き起こす事が明らかになったのです。

特に、1970年代以降、高度成長期にビルの断熱保熱などを目的として大量にアスベストを消費した日本では、その潜伏期間を経過した21世紀初頭からアスベストが原因と思われる中皮腫や肺ガンの患者が目立って増えています。更に、アスベストが使用されたビルに耐用年限が迫っている事情があり、何も対策を立てずに放置しておくと立替工事などで更にアスベストの拡散が起こる事が予想されるため、対策が急がれています。

『奇跡の鉱物』ともてはやされたイシワタは、その弊害が表に出るまでの潜伏期間の長さから、今や『静かな時限爆弾』と恐れられるようになりました。現在では代替物質の研究が進み、最初に挙げた石綿金網も今はセラミック製のものに変っています。建築物にもアスベストの使用はなくなって、既に使われた建物に対しては拡散を防ぐ防御策が施されるようになりました。イシワタを使っていた他の諸製品、家電、車、日用品などにおいても同様に、使用の禁止、制限を行っています。このため、日常生活の中で私たちがアスベストの脅威に晒されることは、ほぼなくなったと言えるでしょう。

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