アスベストの概要(アスベスト対策、建築と有害物質管理を考える)

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アスベストの概要


アスベストは、日本名石綿(イシワタまたはセキメン)と呼ばれる鉱物で天然に存在します。一般的に使われる「アスベスト」という語は、ギリシア語に由来したオランダ語、英語ではアスベストス(asbestos)と表記します。カナダ、南アフリカ、ロシアなどが主な産出国であり、日本でも戦前から北海道を中心に石綿の採掘を行っていました。国内では1970年代に入って新たに山を削って採掘されることはなくなりましたが、既に採掘を終えた廃石から低品質の石綿を回収することが2000年代の初頭まで行われていました。

アスベスト(石綿)は、繊維状の非常に微細な構造を持ち、主な成分は、珪酸マグネシウム塩です。大きく分けて蛇紋石綿(クリソタイル)と角閃石綿(クロシドライトなど)に分類できます。繊維の細かさから飛散しやすく、吸引した空気中のアスベストが肺に突き刺さったりすると肺がんや中皮腫の原因になることが明らかになっています。そのためWHO(世界保健機関)ではアスベストを発ガン物質と断定しました。

その後、1992年発効のバーゼル条約で有害廃棄物に指定され、各国間の越境移動が禁止されました。また、国際労働機関(ILO)は1986年に石綿条約を採択し、その中で職業上、石綿に接することによって起こる健康被害の防止と抑制などを定めています。日本では大気汚染防止法(1968)に基づいて1989年にアスベストを有害性の認められる「特定粉じん」に指定し、使用の禁止及び大幅な制限を行いました。

耐熱・対磨耗性に優れているところから、特に日本では建材、ボイラーパイプ、自動車のブレーキなど多方面に利用されてきた経緯があります。それらの需要を満たすために1970年代には年間約30万トンが輸入され、その後、有害性への懸念から1990年代には輸入量が減少に転じて2000年は10万トン以下に、2004年には8千トン程度となっています。

アスベスト(石綿)は繊維の大小で「グレート」と呼ばれる分類をして品質が決まり、実際の製品に使用する際の基準としては、このグレートの数が小さいほど質の高い石綿という評価がなされます。グレートごとの使用例を見てみると、建材の原料として用いられるものについては比較的グレートの大きな石綿が、繊維として用いられる場合は主として1~4のグレートの小さい石綿が使われてきました。その有害性が明確になった現在、既に使用されたアスベスト(石綿)の速やかな除去、そして未だに使用を続けざるを得ない分野に於いては、代替物質の開発、飛散防止の措置、といった対応が国を挙げて進められています。                           

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