アスベストが引き起こす疾病(アスベスト対策、建築と有害物質管理を考える)

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アスベストが引き起こす疾病

アスベストによる健康被害1(アスベストが引き起こす疾病)

アスベスト(石綿)が原因で起こる健康被害には、肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫、肺がんがあります。いずれの病気もアスベストが飛び散ること、そして飛び散ったアスベストを吸い込むこと、という二つの条件が揃ってはじめて発病の原因となります。同時に、アスベストを扱ってから長い年月を経て漸く健康被害が出てくるのが特徴です。例えば、悪性中皮腫は平均35年という長い潜伏期間を経過して発病することが多いと言われています。

(1) 肺線維症(じん肺)

別名「イシワタ肺」。肺が線維化してしまう病気の一つです。肺の線維化を起こすものとしては石綿の他にも粉じん、薬品など多くの原因があげられます。この中で石綿を吸い込んだことが原因で起きたものを「イシワタ肺」と言い、区別しています。職業上の業務でアスベストを10年以上吸入した労働者に起こるといわれており、アスベストに晒されることがなくなった後で進行することもあります。潜伏期間は15~20年。


(2)肺がん

 実は、アスベストが肺がんを起こすメカニズムはまだ十分に解明されていません。吸引によって肺の中に取り込まれた石綿繊維の物理的刺激、つまり肺細胞にアスベスト繊維が突き刺さることによって発生するとされています。また、喫煙と肺がんの密接な関係は良く知られていますが、その喫煙とアスベストの吸引が相乗作用で危険性が高まるとする学説もあり、喫煙者は要注意です。潜伏期間は15~40年。


(3)悪性中皮腫

 胸膜、腹膜、心膜等にできる悪性の腫瘍。特に若年時にアスベストを吸い込んだ場合に悪性中皮腫になりやすいといういう研究結果があります。またこの悪性中皮種は潜伏期間が特に長く、20~50年とされています。

これらの病気とアスベストの吸引との間には相関関係が認められています。しかし、短期間、或いは低濃度のアスベスト吸引と発病の因果関係については未だに解明されない部分が残っており、どの程度、アスベストを吸引すると発病の危険性があるかという点は明らかになっていません。発病までに長い潜伏期間があること、また、他の物質との複合的な因果関係の可能性などが原因特定の障害となっています。

現在、判っている範囲では、吸入されて体内に入ったアスベストは痰として体外に排出されますが、排出しきれない大量のアスベストを吸い込んだ場合や大きなアスベストは除去されずに肺内に蓄積されて発病の危険が生じると言われています。

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