今後のアスベスト対策(アスベスト対策、建築と有害物質管理を考える)

今後のアスベスト対策(アスベスト対策、建築と有害物質管理を考える)

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今後のアスベスト対策


今やアスベストは、深刻な健康被害の原因物質として存在、使用に関しては厳重な監視の目が行き届くようになっています。工場などアスベスト飛散の恐れのある場所では敷地境界において濃度基準の遵守が義務づけられ、近隣住民がその脅威に晒される度合いも格段に少なくなりました。従来のアスベスト使用製品については、メーカーの代替物質の開発と飛散防止の技術が確立しつつあります。そんな中、アスベスト対策を更に進めるためには今の段階でどのような問題点があるのか考えてみましょう。

まず取り上げなければならないのは、廃棄物としてのアスベストです。ビル解体現場などで大量に生じたアスベスト廃棄物は、その運搬過程、そして処分場で危険な物質として脅威になります。アスベスト運搬時の飛散防止措置は監視の目が行き届かないことも多く、道路周辺住民への健康被害が無いとは言い切れません。或いはトラック積載時、健廃棄物を破砕・分別する中間処理施設、これらの過程ではアスベスト繊維が飛散する可能性が非常に大きくなります。

また、アスベストを処理する処分場においては近隣住民への影響を厳格な数値測定によって監視する必要があります。吹き付けアスベストについては、建物解体時に十分な除去をせずに作業を行う例も見られ、違反者への罰則強化とともに残留アスベストの取り扱いを慎重に考慮した処分段階を考える必要があると言えるでしょう。こうして各段階においてアスベストによる脅威を抑制するためには、環境団体や周辺住民による実態解明や問題提起が重要になります。

数々の制度にも未整備な点があり、行政機関の目の行き届かない部分が存在する事実を考えると、監視を行政のみに任せて我々は安閑としているというわけにはいかないようです。

 また、不幸にしてアスベストによる健康被害を被ってしまった人については、その救済措置について問題が残っています。工場などでアスベストと接していた場合は典型的な労働災害になりますが、潜伏期間の長さから発病までに時間がかかることから労働災害として認定されないケースが考えられます。これは従来の労災認定の時効期間を早急に見直すべきで、現在の期間を法律改正して超遅発性のアスベスト災害に対処する必要があります。

それに加えて、治療法の確立されていない悪性中皮腫に関する研究、さらには現在、潜伏期間中の人々に対しては発病に至らないような予防医学の研究分野には医学界だけでなく政府も力を注いでいくべきでしょう。    

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